ハードディスクを半導体(半導体: Solid State Drive)に交換することで、データの書込み・読出し速度が速くなり操作が快適になります。
プログラムやデータの貯蔵庫として、コンピューターには一般にハードディスクが組込まれています。ハードディスクは回転する円盤(ディスク)にデータを磁気記録する装置です。ディスクが高速で回転しヘッドが記録位置まで移動してデータを書き込んだり読み取ったりします。ディスクの回転やヘッドの移動など機械的な動きを伴うため、データの書込みや読出しにはおのずと時間がかかります。
図1 ハードディスク(カバーを外したところ)
この機械式のハードディスクを半導体に置きかえようというのが、SSD(Solid State Drive)化です。回転部分が無くなるのて振動に強く・軽く、半導体ですからデータの読み書きが高速です。半面、半導体の特性から頻繁なデータの書き換えに弱くなりますが、一般的なパソコンの使い方では問題なく使え、価格も500 GBで1万円弱程度に下がってきました。
ここでは使用中のパソコンのハードディスクをSSDに置きかえてみます。パソコンでエクスプローラを開き左ペインのPCをダブルクリックすれば次のような画面が開き、ハードディスクの容量がわかります。パソコンはFUJITSU LIFEBOOK SH75/Wです。
図2 現用のハードディスク容量
ローカルディスクCの容量は461 GBと表示されています。480 GBのSSDを用意し、ソフトウェアを使ったコピーとコピー機を使ったコピーを試みました。
480 GBのSSDを用意して現用のハードディスクの内容をEaseUS Todo Backupというソフトウェアを使ってSSDにコピーしてみます。用意したのは次の2点です。
図2 480 GB SSD(左)とSATA-USB変換ケーブル(右)
現用のハードディスクの内容をSSDにコピーし、ハードディスクと同じように起動するSSDを作成するソフトをパソコンにインストールしておきます。ここでは次のソフトを使いました。
Sさんから次のソフトを紹介していただきました。
無料バージョンではターゲットディスクのサイズがソースディスクより大きければ、MBRフォーマットに限って問題なくクローンを作成できます。しかし、GPTフォーマットのハードディスクを扱うには有料になります。さらに、有料バージョンでは、ターゲットディスクのサイズがソースディスクより小さくても、ソースのパーティションを手動で調整する機能があります。大容量のSSDは高価であり、リーズナブルなサイズのSSDに換装できるのは魅力です。
内蔵ハードディスク(あるいはSSD)を調べる: CrystalDiskInfo (窓の杜)
SSDに変換ケーブルを接続し、パソコンのUSBポートに接続します。
図3 SSDをパソコンのUSBポートにつなぐ
EaseUS Todo Backupを立ち上げると次のような画面が開きます。
図4 EaseUs Todo Backupを立ち上げる
左に並ぶメニューの中から赤枠で示す「クローン」をクリックします。下の画像の様にハードディスクとSSDが認識されます。ハードディスク0がパソコン内のハードディスク、ハードディスク1がUSBポートに接続したSSDです。
図5 ハードディスクの認識(パーティションスタイルが相違)
ここで注意することはパーティションスタイルと呼ばれるディスクフォーマットの違いです。図5に赤枠で示すように、ハードディスク0はGPT、ハードディスク1はMBRと表示されています。MBRやGPTはパーティションスタイルで、GPTの方が大容量の記憶装置を扱える新しいスタイルです。GPTスタイルの場合、パソコン側にそれに対応した備えがされています。
一方、ハードディスク1、つまりSSDの方はMBRスタイルになっています。今回の場合は現用のハードディスクに合わせてGPTスタイルに変更する必要があります。
Windows 10のスタートボタンの上で右クリックし、「ディスクの管理」をクリックすると次のような画面が開きます。
図6 パーティションスタイルの変更
フォーマット前のSSDで、上図の赤枠で示す部分で右クリックし「GPTディスクに変換」をクリックします。(フォーマットした後であれば一旦ボリュームを削除しこの操作をします。)
ここまでの準備ができたらEaseUS Todo Backupをいったん閉じて再立ち上げします。
EaseUS Todo Backupを立ちあげ、画面の左に表示されるメニューの一番下の「クローン」ボタンをクリックします。
図7 ソースディスクを指定する
ハードディスク1のSSDのパーティションスタイルがGPTに変わっています。
この画面でコピー元となるディスク(ソースディスク)としてハードディスク0にチェックを入れます(赤丸で示す)。Cドライブをコピーすると思い込みCドライブだけをチェックすると、起動に必要なファイルなどがコピーされません。
右下にある「次へ」をクリックします。
図8 ターゲットディスクを指定する
ターゲットディスクとしてハードディスク1にチェックを入れます。ハードディスク1はクローンを作成するSSDです。「編集」をクリックしてパーティションサイズを調整できます。ソースディスクよりサイズの大きなSSDにクローンを作成するとき、ソースのサイズより少し大きく設定しておけば作成時間の短縮になります。設定を終えたら「次へ」をクリックします。
図9 コピーの実行
ソースとターゲットの指定に間違いがないかを確認し、「実行」をクリックします。すぐにSSDのフォーマットに続いてコピーが始まります。コピーが終わると次のような画面になります。
図10 コピーの完了
480 GBのSSDに約1時間38分でコピーができました。早速、ハードディスクを外してSSDに交換して立ち上げてみます。
【参考】
EaseUS Todo Backupでターゲットを指定する画面(図8)の左下に「高度なオプション」というボタンがあります。これをクリックし「SSDに最適化」にチェックしてコピーするとコピー完了まで約2時間45分かかりました。
ハードディスクをSSDと交換し、電源を入れると、無事にWindows 10が立ち上がりました。「ディスクの管理」を見てみると次のようです。
図11 コピーしたSSDのパーティション構造
まず、一番気になる電源オン後の立ち上がり時間を測ってみました。
電源を入れてロック画面が出るまでの時間
HD: 約23秒 SSD: 約10秒
立ち上がり時間は半分以下になっています。
読み書きスピードを測定するソフト(CrystalDiskMark)で、ハードディスクとSSDの比較をしてみました。(詳細は スコアの見方 参照)
HD
480 GB SSD
図12 ベンチマークテスト(CrystalDiskMark)
左側の赤の番号①~④は読出しテスト、右側の青の番号①~④は書込みテストの結果です。数値は単位時間当たりのデータ転送量で、数値が大きいほど性能が良いことを表します。
①は連続した番地のデータ128 KBを読み書きした場合の性能、②~④はとびとびの番地のデータ4 KBを読み書きした場合の性能です。②~④ではキューとスレッドの条件を変えてテストしています。④はシングルキュー、シングルスレッドの場合の性能です。キューやスレッドの数が多い方がデータを早く処理できることがわかります。
HDとSSDの測定データを比べると、SSDの方が値が大きく、性能が著しく改善されています。特に②~④のランダムなデータでの読書きの性能が著しく改善されています。これは、HDではデータの番地が変わるとヘッド位置を変える必要があり、読出し・書き込みに時間がかかるためです。SSDではデータの番地が変わっても影響がなく、この点がSSDの最大のメリットです。
パソコンの立ち上がりではたまに時間がかかることがあっても、SSD化すると操作感は著しく快適になります。
ハードディスクの内容をそっくりSSDにコピーする装置があります。あらかじめ、パソコン上でハードディスクの公称容量を調べて、それと同等か上回る容量のSSDを準備します。
ここではハードディスク本体に表示されている容量を公称容量と呼びます。
私の場合、パソコン上でハードディスクの容量を調べると図2のように461 GBなので480 GBのSSDを用意しました。いざ、パソコンからハードディスクを取り出してみると500 GBと書かれているではありませんか!コピー機にハードディスクと480GBのSSDを装着してコピーしようとするとエラーの赤ランプが点灯しました。
コピー機はこばひで工房でお借りしました。
図13 コピー機
ハードディスクの公称容量500 GBより大きい、640 GBのSSDでは正常にコピーが始まり約3時間で終了しました。さっそくSSDをパソコンに装着し、読み書きスピードを測定するソフト(CrystalDiskMark)で、ハードディスクとSSDの比較をしてみました。(詳細は スコアの見方 参照)
HD
640 GB SSD
図14 ベンチマークテスト
図11の480 GBのSSDの測定結果と比べるとほぼ同程度ですが、480 GBの方が若干性能がよさそうです。
上記A項で書き込んだ480 GBのSSDで立ち上がっているパソコンに、コピー機で書き込んだ680 GBのSSDをUSB接続して「ディスク管理」画面を見ると次のようでした。ディスク0が480 GB SSD、赤枠で示すディスク1がコピー機で書き込んだ680 GB SSDです。右端のパーティションにはボリュームFが作成してあります。
図15 SSDのパーティション構造
COLORFUL製 Model SL500
480 GB SSD (図12と同じ)
SUNEAST製 Model TLC SE800
640 GB SSD (図14と同じ)
● HDの容量より小さな容量のSSDにクローンを作成できる
EaseUS Todo Backupを使ってHDの公称容量を下回る容量のSSDにクローンを作成できるが、Windowsのディスク管理で表示される容量に等しいか上回っている必要がある。コピー機ではSSDはHDの公称容量に等しいか上回っている必要がある。
AOMEI Backupper の有料バージョンでは、ターゲットディスクのサイズがソースディスクより小さくてもパーティションを自動で調整してくれる機能があります。大容量のSSDは高価であり、リーズナブルなサイズに換装できるのは魅力です。